【解説】「みどりの食料システム戦略」とは?大学生が見た日本農業の未来像

農業

こんにちは、福井県で農業を学ぶ大学生・草男です。
私は今、仲間と一緒に水耕栽培による高付加価値メロンの栽培などに取り組んでいますが、授業や実習、そして農業サークルの活動を通して、近年よく耳にするようになった言葉があります。それが「みどりの食料システム戦略」です。

名前だけ聞くとなんだか環境にやさしそうですが、これって実際どういう政策なのか?
そして、農業を学ぶ一学生として、この戦略が現場でどう影響してくるのかを掘り下げて考えてみたいと思います。


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みどりの食料システム戦略とは?

「みどりの食料システム戦略」とは、2021年に農林水産省が打ち出した、環境と調和した持続可能な農業・食料生産の実現を目指す国家戦略です。

正式名称は「みどりの食料システム戦略(Green Food System Strategy)」。
これは、日本が2050年までにカーボンニュートラル社会を実現するという国の大目標の一環でもあり、農業分野における具体的な取り組みが盛り込まれています。


なぜ今「みどり」なのか?背景と課題

この戦略が生まれた背景には、以下のような日本の農業を取り巻く問題があります。

  • 地球温暖化や異常気象による作物被害の拡大
  • 化学農薬・化学肥料への依存と環境負荷
  • 農業従事者の高齢化・人手不足
  • 輸入依存による食料自給率の低下

これらの課題に対応し、環境にやさしく、生産者にも持続可能な仕組みを作ることが求められています。


具体的な目標と数値(2050年目標)

戦略では、明確な数値目標が掲げられています。

目標項目内容
化学農薬の使用量50%低減
化学肥料の使用量30%低減
有機農業の面積100万haに拡大(全体の25%)
カーボンニュートラル2050年までに達成

正直、どれもかなり野心的な数字ですが、これをどう実現していくかが各地の農業者・行政・学生を含めた全員の課題となっています。


大学生の視点で見た「みどり戦略」

① 理想と現実のギャップはある

講義でこの戦略を習ったとき、最初は「環境にいいことばっかりで、すごくいい話やな」と思っていました。
でも実際に畑での実習や農家さんとの会話を通して、「有機やってる人ほんまに少ないな」と実感。
例えば、有機JASの取得には手間もコストもかかるし、化学肥料・農薬を減らすには技術と知識、そしてリスクを取る勇気が必要です。

② 若い世代が動かないと始まらない

一方で、私たちのような農学部の学生が将来就農したり、農業法人に入ったりするとき、最初から「持続可能な農業」を前提に学べていることは大きな強みになると思います。
有機や低農薬栽培に強い農業者がもっと増えていくには、やっぱり若い世代が率先してモデルを作っていく必要があります。


みどり戦略の「現場レベルでの変化」

すでにいくつかの現場では、「みどりの食料システム戦略」を受けて、新しい取り組みが始まっています。

  • 有機農業への転換を支援する補助金制度の拡充
  • ドローンやセンサーを活用したスマート農業の導入
  • 有機堆肥の開発や、地域循環型農業へのシフト

実際、私が実習でお世話になった福井県の農家さんでも、「減農薬栽培を目指して、堆肥の自作を始めた」と話してくれた方がいました。
このように、少しずつ「みどり」への移行が始まっているのを感じます。


みどり戦略の課題と今後の展望

もちろん課題もあります。

  • 有機農産物の市場ニーズがまだ少ない
  • 慣行農業からの転換に手間とコストがかかる
  • 生産者の高齢化による実践力の減少
  • 輸入に依存する飼料・肥料の自給率問題

ただ、それでも「できることから始めてみる」ことが一番大事だと思います。
大学の授業でも、いきなり有機農業に完全移行するのではなく、慣行農業と共存しながらバランスを取る形を模索すべき、という考え方を学びました。


まとめ:農業の未来は「持続可能性」がカギ

みどりの食料システム戦略は、「環境」と「生産性」のどちらかを選ぶのではなく、どちらも両立させる道を探るためのスタートラインだと私は考えています。

そしてその実現のためには、今まさに農業を学ぶ私たち学生が、知識と行動力をもって次の世代の農業を切り拓く存在にならないといけないと思います。

福井からも、全国からも、「みどりの農業」を実践する若い農業者が増える未来を信じて、私は今日もメロンやトマトの世話をしています。


参考リンク:

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