どうもこんにちは、草男です。福井で農業と雑草について学んでいる大学生です。
今回は除草剤のなかでも「グリホサート系除草剤」について、がっつり掘り下げていきます。
ホームセンターやネットで「ラウンドアップ」という名前を見たことがある人も多いと思います。農家さんはもちろん、家庭菜園や庭の草取りに困ってる人も手に取る定番アイテムですね。でも「強い薬やし、体に悪いんちゃう?」「ほんまに安全なん?」と不安に思う声も少なくない。
そこで今回は、雑草学の視点を交えつつ、
- グリホサートってどんな除草剤?
- どんな特徴や効果がある?
- 安全性や発がん性の議論はどうなってる?
- 実際に使うときの注意点は?
を、関西弁もちょっと交えて、親しみやすく解説していきます。
グリホサート系除草剤とは?
グリホサート系除草剤は、有効成分「グリホサート(Glyphosate)」を含んだ除草剤のこと。1970年代に米国のモンサント社(現バイエル)が開発し、世界中に広がりました。代表商品が「ラウンドアップ」で、日本でもよく使われています。
グリホサートは「アミノ酸の合成」を阻害するのが特徴。植物が自分の体を作るために必要な部品が作れなくなり、ゆっくり枯れていくわけです。
イメージで言うと、雑草に「コンビニの仕入れルート」を断たれたようなもの。食べ物が入ってこないので、在庫がなくなった時点で力尽きてしまう、そんな感じです。
特徴①:非選択性でほとんどの植物を枯らす
グリホサートは「非選択性除草剤」と呼ばれます。つまりイネ科・広葉植物関係なく、光合成をするほとんどの植物を枯らしてしまう。
だから、庭で「芝生は残したいけど、スギナだけ枯らしたい」と思っても無理。芝生ごとやられてしまいます。逆に「一度更地にしたい」「畑の準備で雑草をリセットしたい」ときにはめちゃくちゃ便利です。
特徴②:根まで効いて再生しにくい
雑草のいやらしいところは「地上部を刈っても根や地下茎からまた芽を出す」ところ。セイタカアワダチソウやヨモギなんかは、その代表格ですね。
でもグリホサートは葉から吸収され、体全体に移動して根や地下茎まで届きます。その結果、地上部だけじゃなく地下部ごと枯らすことができる。だから「草刈りよりも確実性が高い」と農家さんが頼りにするわけです。
特徴③:効果がゆっくり出る
「まいた次の日にスパッと枯れる!」というわけではありません。早くても数日、一般的には1〜3週間ほどで枯れていきます。
「すぐに見た目をきれいにしたい」という人には物足りないかもしれませんが、逆に言えばそれだけじっくり効いて、根までしっかり抑えるということです。
特徴④:土に残りにくい
グリホサートは土に落ちるとすぐに土壌の粒子に強く吸着され、微生物によって分解されやすい性質があります。そのため、残留しにくく、次の作物に悪影響を与えにくいと言われています。
農家が「除草剤を使ったあとでも安心して作物を植えられる」と感じるのはこの性質のおかげです。
使用するときの注意点
ただし「便利=安全」とは限りません。使い方を間違うとトラブルの原因になるので、ここは要注意です。
- 風の強い日は散布しない
薬液が風で流れて、作物や花壇の植物にかかってしまうリスクあり。 - 雨の前後を避ける
散布して乾く前に雨が降ると、薬が流されて効果が落ちます。 - 人・ペットの安全に配慮
散布直後の濡れた雑草は触らせないように。乾いてしまえば安全性は高まります。 - 用途に合った商品を選ぶ
「農耕地用」と「非農耕地用」があるので、家庭菜園なら必ず農耕地用を選びましょう。
グリホサートと発がん性の議論
さて、ここが多くの人が気になるポイントやと思います。「グリホサートって発がん性あるんちゃうの?」という話です。
2015年、WHOの下部組織であるIARC(国際がん研究機関)が、グリホサートを「ヒトに対して発がん性のおそれがある物質(グループ2A)」と分類しました。このニュースが世界的に大きく報じられて、「グリホサート=危険」というイメージが広まりました。
ただし、その後の評価は国や機関によって異なります。
- 米国EPA(環境保護庁):「発がん性のリスクはない」
- 欧州食品安全機関(EFSA):「通常使用ではリスクは低い」
- 日本の食品安全委員会:「食品を通じた摂取で問題はない」
要するに「実験室で大量に与えれば発がん性が見られる可能性はあるが、農業や家庭で適正に使う範囲なら安全と考えられる」というのが現在の国際的な見解です。
ここで大事なのは「リスク=ゼロではない」ということ。塩や砂糖でも取りすぎれば体に悪いように、除草剤も「過剰に使えば危険、正しく使えば問題なし」という位置づけです。
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グリホサートの利点と欠点を整理すると
- 利点
・根まで効いて確実性が高い
・ほとんどの植物に効く
・土に残りにくく次作に影響が少ない - 欠点
・非選択性なので作物も枯れてしまう
・効果が出るまで時間がかかる
・発がん性の議論があり、社会的に賛否がある
・過剰使用は環境負荷につながる
例え話でイメージすると
例えば、雑草対策を「病気の治療」と考えてみましょう。
- 草刈りは「痛み止め」みたいなもの。すぐ効くけど根本的な治療にはならない。
- 防草シートは「予防接種」。そもそも生えにくくする。
- グリホサートは「抗生物質」。体の奥まで効いて、原因を叩く。
ただし抗生物質と同じで「使いすぎると副作用や耐性菌の問題」が出てくる。だからバランスよく使い分けることが肝心なんです。
まとめ
グリホサート系除草剤は、
- 非選択性で多くの植物を枯らす
- 根まで効いて再生を防ぐ
- 効果がゆっくり出る
- 土壌残留が少ない
という特徴を持つ便利な除草剤です。
ただし、発がん性の議論があるように「万能で安全な薬」ではありません。世界的な評価を総合すると「通常の使い方ならリスクは低いが、乱用は避けるべき」というのが妥当な結論です。
雑草管理は「除草剤に頼り切る」のではなく、草刈り・防草シート・手取り除草などとうまく組み合わせることが大切。グリホサートもその中の“道具のひとつ”として理解しておくと、賢い使い方ができます。
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