【雑草解説】ヒルザキツキミソウ|昼も咲く“夕の草”、美しすぎる元観賞用の野生派

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【雑草解説】ヒルザキツキミソウ|昼も咲く“夕の草”、美しすぎる元観賞用の野生派

淡いピンクの大輪が風にゆれる…。
その花はまるで園芸植物のように優雅だけど、実は道ばたや空き地でたくましく生きる雑草、
それが**ヒルザキツキミソウ(日咲月見草)**です。
観賞用として日本に渡来したこの草、今ではすっかり野生化して、住宅地の片隅でしれっと群落化
今回は、美しく咲き乱れる“元・人気園芸草”の今の姿に迫ります!


① ヒルザキツキミソウのプロフィール

学名Oenothera speciosa
分類:アカバナ科マツヨイグサ属
原産地:北アメリカ
花期:5月〜7月
草丈:20〜50cmほど
生育場所:住宅地、公園、歩道のふち、空き地、砂利地など

ヒルザキツキミソウの花

② 昼間も咲いている月見草

「ツキミソウ=夜に咲く花」というイメージがありますが、
ヒルザキツキミソウは夕方から咲き始め、翌日の昼間も咲き続けるというスタイル。
名前に“昼咲”とついているのはそのためです。
花は白地にほんのり桃色が差したような優雅な色合いで、時間が経つと少しずつ紅が増していきます。
花つきもよく、香りもほんのり甘くて品があるのが魅力です。


③ モモイロヒルザキツキミソウとの違い

園芸品種のひとつに、**初めから濃い桃色の花を咲かせる「モモイロヒルザキツキミソウ」**があります。
学名では Oenothera speciosa var. childsii とされ、通常種と区別されることも。
見た目の華やかさはピカイチで、街なかの花壇から逃げ出して野生化しているのもこのタイプが多めです。


④ 野に放たれた園芸草。住宅街でしれっと自立

明治〜大正時代に観賞用として導入されたヒルザキツキミソウですが、
その後こぼれ種や地下茎によって各地で野生化が進行
特に住宅地まわりや公園の片すみに定着して、
「あれ?こんなとこにも咲いてる!」と驚かれることもしばしば。
それでも見た目の美しさゆえに、駆除されるより見守られることの方が多いタイプです。


⑤ ミニコラム|ほんとに結実しないの?

かつては「日本では結実しない」と言われてきたヒルザキツキミソウ。
ところが、近年の植物図鑑では「稀に結実する」と記載が変更されました。
栽培環境や地域によっては種子での繁殖もありうるということで、
「見た目はおとなしくても、油断は禁物」と言える草でもあります。


⑥ 食べられる?利用法について

ヒルザキツキミソウに関しては、食用・薬用の利用例はほとんどありません。
マツヨイグサ属には栄養価が高いものもありますが、本種についての実績は不明瞭
その美しさを静かに楽しむのが、今のところ一番の利用法です。


⑦「ヒルザキツキミソウ」を調べるのにおすすめの本

雑草や外来植物に本気で向き合うなら、これは避けて通れない。
全国のフィールドワーカー、植生調査ガチ勢、農業関係者にとって「頼れる相棒」として語り継がれる一冊。

全国農村教育協会『日本帰化植物写真図鑑 —Plant Invader 600種—』


日本で野生化している外来植物たちを美しい写真とともに解説。
ヒルザキツキミソウのように**“もともと園芸用だった草”の現在地**を知るのにぴったりです。


⑧ 駆除・対策について

環境への影響は比較的少ないとされており、雑草として放置されやすいタイプ
ただし、地下茎で広がるため気づかないうちに広範囲に拡大することもあります。
気になる場合は、根ごと掘り上げて処分すれば比較的簡単に対応可能です。

> 駆除方法の詳しい情報は、[こちらのヒルザキツキミソウ対策ガイド(仮リンク)]をご覧ください。


⑨ まとめ

ヒルザキツキミソウ(Oenothera speciosa)は、
かつての観賞草がしれっと道ばたで自立している、野に下った美しき草
昼にも咲く「月見草」として、その花つきの良さ・香り・色の移ろいは今でも魅力十分です。
見かけたら、ただの雑草と侮らず、明治ロマンの残り香を感じてみてください。


よくある質問(FAQ)

Q. ヒルザキツキミソウはいつ咲くの?
A. 夕方から咲き始め、翌朝〜昼にかけて咲き続けます。日中も花を開いているのが特徴です。

Q. モモイロヒルザキツキミソウとは別の種類?
A. どちらも同種ですが、モモイロ〜は濃いピンク色が初めから出る園芸品種(var. childsii)です。

Q. 勝手に広がることはありますか?
A. はい。種子や地下茎で野生化し、特に住宅街のすき間などで群落を作ることがあります。


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