『怖くて眠れなくなる植物学』レビュー|読んだら道端の草が怖く見える!?眠れないほど面白い“植物の攻撃力”

雑草

私たちのまわりには、草や花、木々といった“おとなしい植物たち”が静かに存在しています。
でも――その植物たちが、実は「毒を持ち」「生き物を欺き」「ときに殺す」存在だとしたら?

**『怖くて眠れなくなる植物学』(稲垣栄洋 著/PHP研究所)**は、そんな植物たちの“もうひとつの顔”を描き出した一冊です。

本のページをめくるたびに、植物への見方がガラリと変わる。
読んだあとには、思わず足元の雑草にも目を凝らしたくなる、知的好奇心とちょっとした恐怖が入り混じった植物学の入門書です。


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◆ 植物が「食べる」「殺す」「だます」!?静かなる攻撃者たち

本書で紹介される植物は、まさに“静かな狩人”。

たとえば――

  • 虫を捕えて分解する食虫植物
  • 神経毒で動物を麻痺させる毒草
  • 鳥のフンそっくりな花でハエをだます植物
  • 120年に1度だけ花を咲かせる竹の謎

など、どれもが「植物ってこんなにやばいの?」と驚かされるものばかり。

植物は動けないかわりに、化学・形・香り・時間を巧みに使って生き延びる“知的な戦略家”なのです。


◆ 忘れられない話①:家1軒と引き換えにされたチューリップ

読んでいて特に印象に残ったのが、チューリップバブルの話です。

かつてオランダで、チューリップの球根が家1軒分の価値で取引されていた時代がありました。なかでも高値で売られていたのが、モザイク模様の入った「ブロークン」というチューリップ。

ところがこのブロークン、実はモザイク病というウイルスに感染した球根だったんです。

人々は“美しい病気の花”に夢中になり、ありえない価格で取引が続き、やがてバブルは崩壊。

植物がきっかけで経済までも動かしたという史実には、背筋がゾクッとしました。


◆ 忘れられない話②:ライオンを殺す植物「デビルズクロー」

もうひとつ衝撃だったのが、「ライオンゴロシ」とも呼ばれる植物の話。

その正体は、南アフリカ原産の「悪魔の爪(デビルズクロー)」という植物
この植物の実は、まるで巨大なヒッツキムシのような形をしていて、鋭く硬い棘をいくつも持っています。

地面に落ちたその実をライオンが踏むと、足に深く刺さって抜けなくなります。
痛みに耐えかねて、ライオンは口で実を噛んで引き抜こうとするのですが、すると今度はその棘が口にも突き刺さる

結果、ライオンは狩りもできず、衰弱して死んでしまう――という、にわかには信じがたい生存戦略。

植物がこんな方法で“命のやりとり”をしているという事実に、自然界の底知れなさを感じずにはいられません。


◆ 難しい話もサクサク読める!稲垣先生の語り口が魅力

本書の著者・稲垣栄洋先生は、雑草学の専門家であり、静岡大学の教授。
私も実際に一度お会いしたことがありますが、とても話が面白く、優しくユーモアのある先生でした。

その魅力が本の文章にもそのまま表れていて、難しい専門用語や理論も、軽快な語り口でスルスル読めます。

読み物として楽しく、でも確実に「へぇ!」という知識が増えていく。
まさに、“読めば読むほど眠れなくなる”構成です。


◆ こんな人におすすめ!

  • 植物や自然に興味がある人
  • 雑学や豆知識が好きな人
  • 読みやすくて面白い科学系の本を探している人
  • お子さんや学生にも「自然の面白さ」を伝えたい方
  • 植物の“したたかな一面”にワクワクするタイプの人

◆ まとめ|植物のイメージがくつがえる、知的でゾクゾクする一冊

『怖くて眠れなくなる植物学』は、植物の世界を「おもしろく」「ちょっと怖く」「ぐっと深く」感じられるようになる名著です。

草花に興味がある人にも、まったく関心がなかった人にも、きっと何かのスイッチを押してくれるはず。
自然の一部として、植物をもっと身近に、もっと多面的にとらえるきっかけになることでしょう。

静かに、確かに、命をかけて生きている植物たちの姿に、あなたも驚かされてみませんか?

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